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抗アセチルコリン受容体抗体価が予後予測に有用なマーカーという報告

 千葉大学と京都府立医科大学の共同研究のニュースリリースです。 指定難病「重症筋無力症」の予後予測に有用なマーカーを発見 ~治療の最適化による副作用軽減・生活の質改善に期待~ 抗アセチルコリン受容体抗体が陽性のMG患者さんは、抗アセチルコリン受容体抗体価(以下「抗AChR抗体価」)の数値を定期的に検査をしていることが多いと思いますが、ステロイドを使ってMGの治療を始めた患者のうち、治療開始から100日以内に抗AChR抗体価の減少率が高い人が、MM(重症筋無力症の一般的な治療目標である軽微症状)に早く到達し、1年後の予後が良好でステロイド内服量も少ない、という内容です。 非常に簡単に訳すると ステロイドを使って抗AChR抗体価が早く下がる人ほど、早く良くなるし、あとあとのステロイドの内服量も少なくなる という話ですので、それはそうなんだろうなという印象です。 しかし、MG患者の体感的な症状と抗AChR抗体価の数値は必ずしも一致しないため、抗AChR抗体価の数値は副次的な指標になりがちですが、この研究の結果、ステロイド治療の結果もたらされる抗AChR抗体価の減少の程度が、1年後の体調を予測するのに使えるというのは、1年後の体調すら自信をもって語るのが難しいMG患者にとって、大いに価値があるのかもしれません。

ユプリズナのMG適応拡大のための治験

田辺三菱製薬のプレスリリースからの情報です 。 【新製品】「ユプリズナ」国内発売‐NMOSDの再発予防 田辺三菱製薬 視神経脊髄炎スペクトラム障害治療の新たな選択肢「ユプリズナⓇ点滴静注100mg」発売のお知らせ 田邊三菱製薬が国内販売を始めた、自己免疫疾患の視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の治療薬「ユプリズナ」(イネビリズマブ)の重症筋無力症への適応拡大のためのグローバル第3相試験が進んでいるそうです。 MGと同じく自己免疫疾患であるNMOSDに効果がある薬なので、転用の可能性があるということですね。 モノクローナル抗体ということなのでお高い薬ですが、NMOSDに利用可能ということで、承認されているので、MGへの効果が認められてスムーズに適応拡大されることを期待しています。 NMOSDには半年に1回の投与で良いというので、MGも同じような投与で良ければ、患者のQOLがアップしそうです。

コロナワクチンの接種について

 コロナワクチンの接種について、NPO法人 筋無力症患者会のサイトに、新規情報が掲載されていました。 コロナワクチンについて MG患者さんのブログを見ていると、MG患者の医療従事者の中で、ファイザーのコロナワクチンを接種している方がチラホラ見られます。MG患者のコロナワクチン接種はそれくらいしか情報収集の手段がありませんでしたが、NPO法人 筋無力症患者解散が、参考になる情報を提供してくれました。 MG患者の中には通院先の医師に個別に話を聞いたりしている方も多いと思いますが、なかなか落ち着いて頭を整理して話を聞くというのも難しいので、こういう形で話を纏めてもらえると大変助かります。

患者主導の研究が MG とともに生きることの課題を浮き彫りに

 2021年の米国神経学会でのプレゼンテーションの解説です。 #AANAM – Patient-led Study Highlights Challenges of Living With MG 患者主導の研究(Patient-led Study)が、MG患者の心の内を詳細に分析した報告を行っています。 患者主導の研究というのは、当事者研究とは少し違うようですが、今回の報告を見ると、MG患者の置かれた心の葛藤がとても分かり易く描かれているように思います。 そういう意味では、報告内容を読んでいると、非常に納得感のあるものでした。 アメリカのMG患者も日本のMG患者と同じように、病気への不安を抱えつつ、薬の効果と副作用の調整に苦慮し、見た目からは分からない病気のため日々の生活の悩みが周囲に理解されないこと、これらの葛藤を主治医がきちんと理解してくれないことへの不満を持っている、ということが描かれています。 是非、Google翻訳で良いので、報告を読んでいただくことをお勧めします。 こういった研究報告は、医師が興味のあるテーマではないため、患者が主導しない限りは生まれてこないのではないでしょうか。そういう意味では日本でも、患者が主導して研究を行う必要がありそうです。

ニポカリマブは gMG の症状を安全に緩和

  前回に引き続いてニポカリマブについてのニュースです。2021年の米国神経学会でのプレゼンテーションの解説です。 #AANAM – Nipocalimab Safely Eases gMG Symptoms, Final Trial Data Confirm 進行中の標準治療に対する反応が不十分な、中等症から重症の成人68人に対して治験が行われました。結果として、試験の結果は良好で、重篤な副作用もなく、患者のMG-ASLスコアが改善しました。 前回の記事には書いてありませんでしたが、 「ニポカリマブは、FcRn と呼ばれる受容体分子と免疫グロブリン G (IgG) 抗体 (MG の発生を促進するものを含む) との相互作用を防止することにより、MG の根本的な原因に対処するように設計された抗体です。 FcRn-IgG 結合が IgG 分解を防ぎ、これらの抗体が血流に留まる時間を延長することを考えると、ニポカリマブは総 IgG および疾患関連 IgG 自己抗体のレベルを低下させ、最終的に MG の重症度を緩和することが期待されます。」 とのことです。 また、 「ニポカリマブの最高用量 (60 mg/kg) で治療された参加者では、IgG レベルが 80% 低下し、隔週で治療を受けたグループでも維持されました。IgG サブクラスおよび抗 AChR 自己抗体でも同様の減少が観察されました。 これらの効果は、MG-ADL スコアの用量依存的な低下と関連しており、疾患の重症度が低いことを示しており、これは患者の約 40% で最初の 2 週間以内に検出されました。これは、観察された IgG レベルの反応と一致しています。 特に、MG-ADL スコアで評価すると、IgG の減少は症状の軽減と有意に関連していました。」 とのことです。 モノクローナル抗体なのでお高いのでしょうが、患者の選択肢が増えるのはありがたいことです。はやく第3相試験が始まって、上市されるのが楽しみです。