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重症筋無力症の遺伝的危険因子

 myasthenia gravis newsに、遺伝子に関する研究についての報告が載っていました。 MG Genetic Risk Factor Directly Tied to Neuromuscular Junction Identified 欧米での研究では、MGになる危険性の高い遺伝子について研究が進んでおり、特定の遺伝子を持つ人にMGが発症しやすいと述べています。 既にMGを発症している人については、なかなか活用しにくい知見ですが、未だMGを発症していない人にとっては、その遺伝子を保有している場合には、発症しないように気を付けるべきマーカーとなるため、意味がある研究だと思います。

カルプロテクチンが、MG重症度のマーカーとなる可能性がある

 myasthenia gravis newsに、MGのマーカーに関する研究についての報告が載っていました。 Calprotectin, Inflammatory Protein, May Be Biomarker of MG Severity MGのマーカーとしては、抗AChR抗体といったような抗体がよく使われていますが、MGの(抗体別の)種類に関係なく、重症度を計測するためのマーカーについての研究が行われています。 カルプロテクチンと呼ばれる炎症関連タンパク質は、重症筋無力症(MG)の患者の血中に異常に高いレベルで存在する、と研究では報告されています。 現状では、MGの重症度は体感ベースでしか測定されていませんので、抗体種類に関係なく、重症度が測定できるマーカーが発見されれば、MGの重症度を客観的に測定できるようになるので、公的扶助を得るときに公平性が保てるようになるかもしれません。

MG患者の腸内細菌叢の組成に見られる違い

 myasthenia gravis newsに、少し面白い研究結果が載っていました。 Differences Seen in Composition of Gut Microbiome in MG Patients 日本でも、腸内細菌叢=腸内フローラに関するニュースを目にすることが良くありますが、MGに関しても同じように腸内フローラが影響しているのではないかという記事がありました。 MG患者は、そうでない人と比べて腸内フローラの多様性が低いという研究結果が出たというものです。 腸内フローラについては、まだ研究も途上で、今後もっと研究を勧めないと分からないことが多いですが、もし、腸内フローラを改善すると、MGが緩和されるとか、MGが治るということになった場合には、腸内フローラ移植(便移植)といった治療が行われるようになるのかもしれません。

第3相試験中のユルトミリスは、全身型MGの症状を緩和するのに役立ちます

 myasthenia gravis newsに、新薬の治験に関する報告が載っていました。 Ultomiris Helps Ease gMG Symptoms in Ongoing Phase 3 Trial ソリリスを提供しているアレクシオンファーマが研究開発をしている、ユルトミリス(ラブリズマブ)の第3相試験のトップラインデータによると、全身型MGの成人の症状の重症度を迅速かつ持続的に緩和することが出来たようで、日本を含めた複数の国で、承認申請の手続きの準備を始めたとのことです。 申請自体は、2021年中か2022年の早い時期を目指しているようですので、承認が下りるとして、申請から1年くらいかかるので、治療に使えるようになるのは2023年くらいになるでしょう。 ソリリスに続いて、全身型MGの治療薬が増えるのはとてもうれしいことです。 とはいえ、ソリリスと同様にモノクローナル抗体なので、薬の値段は高くなるのが、使用する際のネックになりますね。 一方で、8週間に1度の点滴で済むようなので、ソリリスに比べるとQOLは上がりそうです。

全身型MGで効果的かつ安全なバトクリマブの第2相試験の結果

 myasthenia gravis newsに、新薬の治験に関する報告が載っていました。 Batoclimab Effective and Safe With Generalized MG, Phase 2 Trial Finds 香港のバイオベンチャーであるHBMホールディングス(和鉑医薬控股有限公司)が開発している「バトクリマブ」は中等度から重度の重症筋無力症(全身型MG)に対する治験薬です。 第2相試験の結果は良好だったようで、バトクリマブは全身型MGの治療のために中国で画期的治療薬の指定を受けたということです。この指定は、治療法の開発と規制の見直しをスピードアップすることを目的としているそうで、第3相試験も今年後半に開始されるとのことです。 中国企業によるMG治療薬の開発というのは、今まで見たことが無かったのですが、中国の企業がMG治療薬を開発しているというのは、同じアジア人の日本人にとっては朗報かもしれません。 現時点では中国人を対象とした治験だけしか行われていないようですが、グローバル治験でなくとも、中国人を対象とした治験の結果は同じアジア人の日本人にも同程度の効果が期待できそうなので、第3相試験で良い結果が出ることを期待したいです。

COVID-19ワクチンに起因するMGクリーゼのまれな症例

myasthenia gravis newsに、新型コロナウイルスのワクチンによって引き起こされたかもしれない副作用についての症例報告が載っていました。 Rare Case of MG Crisis Attributed to COVID-19 Vaccine 患者は77歳の白人男性で、5年前にMGと診断されてから、ステロイドとメスチノンを服用し安定した状態でいました。 2回目のワクチン(モデルナ)の接種後、約1週間後に嚥下障害が発生しERで治療を受けたそうです。 最終的には状態は安定したようですが、入院6日目でクリーゼとなり、集中治療室でのステロイド投与やIVIGの治療が行われたそうです。 通常、ワクチン接種後は30分程度の経過観察だけが行われていますが、MG患者は1週間~2週間程度は、状態変化に気をつけた方が良さそうです。

免疫抑制剤は、眼筋型MGが全身型MGに進行するリスクを軽減する可能性があります

 myasthenia gravis newsに掲載された研究の成果です。 Immunosuppressants May Reduce Risk of Ocular MG Progressing to gMG 眼筋型のMG患者が、免疫抑制剤を利用すると、利用しない場合に比べて全身型に進行する可能性が低くなると報告されています。 2年間の比較では、全身型に進行したのは、免疫抑制剤を投与された患者(16.9%)に対して、薬剤を投与されなかった患者(40.8%)となっている。 4年間での比較では、全身型に進行したのは、免疫抑制剤を投与された患者(25.3%)に対して、薬剤を投与されなかった患者(51.9%)となっている。 全身型への進行までの時間の中央値は、免疫抑制剤で治療された患者が(3.1年)に対して、薬剤を投与されなかった患者が(1.7年)であった。 もしこの研究が正しいのであれば、眼筋型の時点で早期診断を受けて、免疫抑制剤を利用することで、全身型に進行しないように予防することが大切になると思います。