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胸腺腫と重症筋無力症がなぜ合併するのか

 2022年8月5日に大阪大学の研究グループより、胸腺腫と重症筋無力症がなぜ合併するのかを明らかにした研究結果が発表されています。 胸腺腫と重症筋無力症がなぜ合併するのか 研究成果のポイントは、以下の3点で、最後にも記載されている通り、新たな薬の開発の可能性があることです。 ・胸腺腫と重症筋無力症の合併率が高いことが知られていたが、なぜ合併するのかは長らく不明であった ・重症筋無力症の原因となる、神経筋関連因子を発現する新規細胞を同定し、重症筋無力症合併胸腺腫内で、この新規細胞が異常なB細胞とT細胞の活性化を引き起こすことを発見 ・重症筋無力症の病態をターゲットとした新規治療開発に期待 これはかなり大きな発見だと思いますので、患者としては大変うれしい報告になります。

抗 FcRn 抗体フラグメント製剤「ウィフガート®点滴静注 400mg」の国内承認

2022年1月20日にアルジェニクス社の抗 FcRn 抗体フラグメント製剤「ウィフガート®点滴静注 400mg」の全身型重症筋無力症に対する日本国内での製造販売承認が下りました。 抗FcRn抗体フラグメント製剤「ウィフガート®点滴静注 400mg」の全身型重症筋無力症に対する製造販売承認を取得 ウィフガートは、重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)の使用を前提としているようなので、今までの治療薬で効果が得られなかった方には、良いお知らせとなりそうです。 米国FDAでの承認が下りたのが2021年12月17日で、それから1か月程度で日本国内の承認も下りたのはかなりスピーディで、ドラッグラグ解消になりますね。 やはり、国際共同試験のおかげでしょうか。

運動プログラムは、筋肉、身体機能を改善しました

 myasthenia gravis newsに、MG患者の運動と筋肉についての研究に関する報告が載っていました。 Exercise Program Improved Muscle, Physical Function MGと診断された場合に、医師から運動について指導されることがあると思いますが、これについては医師の独自の方針によるところが多いようで、日本ではガイドラインなどがあるわけではないようです。 この報告によると「身体運動は安全で効果的であり、MGが十分に調節されている患者にとって適切です」とされています。ただし、MGの症状が安定してコントロールされている患者さんに限定して言えることのようで、そうでないMG患者についてはリスクがあるかもしれません。 なお、この報告で1点だけ気になったのが、 「研究者が患者を週の中央値より上または下で運動したかどうかによって2つのグループに分けたとき、彼らはより多く運動した患者が腕のより多くの筋肉量も失うことを発見しました。」 というコメントです。 これによると、運動量が多いグループの方が腕の筋肉量を多く失うとあり、これをどう解釈して良いのか分かりませんでした。 総論としては、症状が安定しているMG患者に推奨されるようですが、筋肉が失われるという結果をどう解釈して良いのか、モヤモヤが残るところです。

デカルト-08というCART細胞療法により、MGの症状が緩和された

 myasthenia gravis newsに、新たな治療方法の研究に関する報告が載っていました。 CAR T-cell Therapy Descartes-08 Eased MG Symptoms 治験中のCART細胞療法であるデカルト-08によって、第1/2相臨床試験に参加した3人の患者の重症筋無力症(MG)が症状を著しく緩和したとのこです。 ただし、3人の症状が緩和したに過ぎないため、研究の成果としては非常に弱いものとなります。 CART細胞療法は、患者自身のT細胞を取り出し、遺伝子医療の技術を用いてCAR(キメラ抗原受容体)と呼ばれる特殊なたんぱく質を作り出すことができるよう、T細胞を改変します。CARは、がん細胞などの表面に発現する特定の抗原を認識し、攻撃するように設計されており、CARを作り出すことができるようになったT細胞をCART細胞と呼びます。このCART細胞を患者さんに投与することにより、治療するのがCART療法です。 デカルト-08では、T細胞はB細胞成熟抗原(BCMA)と呼ばれるタンパク質を標的とするCARで修飾されています。BCMAは、MGで重要な役割を果たすと考えられている成熟B細胞に由来する抗体産生免疫細胞の一種である形質細胞の表面に見られます。したがって、デカルト-08の目的は、BCMAを標的とするCART細胞を使用して、これらの疾患を引き起こす免疫細胞を殺すことです。 このように、デカルト-08では、CART細胞を利用して、MGを引き起こす免疫細胞を抑制することで、MGの症状が緩和されることが期待できるようです。

重症筋無力症の遺伝的危険因子

 myasthenia gravis newsに、遺伝子に関する研究についての報告が載っていました。 MG Genetic Risk Factor Directly Tied to Neuromuscular Junction Identified 欧米での研究では、MGになる危険性の高い遺伝子について研究が進んでおり、特定の遺伝子を持つ人にMGが発症しやすいと述べています。 既にMGを発症している人については、なかなか活用しにくい知見ですが、未だMGを発症していない人にとっては、その遺伝子を保有している場合には、発症しないように気を付けるべきマーカーとなるため、意味がある研究だと思います。

カルプロテクチンが、MG重症度のマーカーとなる可能性がある

 myasthenia gravis newsに、MGのマーカーに関する研究についての報告が載っていました。 Calprotectin, Inflammatory Protein, May Be Biomarker of MG Severity MGのマーカーとしては、抗AChR抗体といったような抗体がよく使われていますが、MGの(抗体別の)種類に関係なく、重症度を計測するためのマーカーについての研究が行われています。 カルプロテクチンと呼ばれる炎症関連タンパク質は、重症筋無力症(MG)の患者の血中に異常に高いレベルで存在する、と研究では報告されています。 現状では、MGの重症度は体感ベースでしか測定されていませんので、抗体種類に関係なく、重症度が測定できるマーカーが発見されれば、MGの重症度を客観的に測定できるようになるので、公的扶助を得るときに公平性が保てるようになるかもしれません。

MG患者の腸内細菌叢の組成に見られる違い

 myasthenia gravis newsに、少し面白い研究結果が載っていました。 Differences Seen in Composition of Gut Microbiome in MG Patients 日本でも、腸内細菌叢=腸内フローラに関するニュースを目にすることが良くありますが、MGに関しても同じように腸内フローラが影響しているのではないかという記事がありました。 MG患者は、そうでない人と比べて腸内フローラの多様性が低いという研究結果が出たというものです。 腸内フローラについては、まだ研究も途上で、今後もっと研究を勧めないと分からないことが多いですが、もし、腸内フローラを改善すると、MGが緩和されるとか、MGが治るということになった場合には、腸内フローラ移植(便移植)といった治療が行われるようになるのかもしれません。